シャルの心の端書き置き場

短くは書けないそんなあれこれを

「京都寺町三条のホームズ」の第2巻を読み終えて、葵ちゃんと清貴さんの関係に思うところ

 外の装いも少しずつ秋になりつつありますね、と外に出て雲の形の変化、虫の声やそして陽の長さを見て思う僕です。

 葵ちゃんは初めて清貴さん(ホームズ)のいる蔵(彼の一家が経営する骨董品店の名)を訪れて、心情を見透かされて埼玉に残してきた彼氏の裏切りに対して覚えた切なさや怒りなどの感情をついに吐露し泣きくずれるシーンを読んで、僕はこの本にまず惚れ込んだのです。綺麗で、僕の胸に切なさを覚えさせる描写だと思って。

 その後、葵ちゃんは蔵で働くことになり、清貴さんに連れられて多くの真贋様々な美術品を間近で見ながら、それぞれの美術品を持つ人たちの心の詰まったエピソードに触れ合う物語が質感のある等身大の描写で描かれています。陳腐な僕の語彙力では到底表現できないですね……。

 葵ちゃんの目線で物語は主に進んでいくので、もう清貴さんがイケメンに描かれること描かれること!言葉巧みで毎度同じ表現ではないものですから、僕もそろそろ清貴さんに惚れるのではないだろうか、と。「いけずな京男子」な清貴さんは表の誰にでも品行方正で紳士、そして尚且つ知識人な一面と、京都のような華やかな歴史の裏にある真っ黒な部分の二面性に葵ちゃんがクラクラ、ドキドキしています。その緊張はしばしば心臓が破裂しそうという表現で書かれています。

 葵ちゃんは今まで周囲には決していない存在である清貴さんに心が靡いています。もちろん失恋のあとに、ああして手を握られたり葵ちゃんの心をしっかり理解した上で優しい言葉をかけてくれる「理想の男」たる清貴さんに靡かない女子はそうそういないと思いますし。でも、確固たる恋心でもないと葵ちゃんはどうも思っていて、恋人同士に見えるという他者の評価には猛烈に否定してます。寧ろその行為は疑惑を肯定しているようにしか見えない、自分の気持ちになかなか正直になれてないように読者には見えるのです。早く恋心を自覚して、それを清貴さんに感じ取られてしまって、告白してしまえばいいのになんてね!

 

 ここから少し第二巻の最終章のある描写に触れます。読まれる方はご注意を

 

 そして、僕がこれを書きたいと思ったきっかけたるは第二巻の最終章!なんでも明快にハキハキされている清貴さんが葵ちゃんの手を握って言葉に詰まるシーンには、僕は息を止めて心臓が破裂しそうな思いで読んでいました。しかし、しっかり邪魔が入るお約束な展開にほっと一息吐いた僕は、実は残念に思ったり思わなかったり……。

 

 葵ちゃんと清貴さんはお互いに相手を特別視していますし、そのお互いを大事にしている感情が恋心に変化してもおかしくないと僕は思ってます。いや、5巻まで出ているのでそこまで読めばよかろう、と思っても言っちゃダメですよ!

 

 僕は好きな人には極力素直でいたいです。想いまでは伝えられないんですけどね……。

 

 そんなこんなでまた1100字を超えてしまったので、今回はここまでに。また次回も貴方に出会えることを祈って。ルンルン♪

「京都寺町三条のホームズ」を読んで

 まずはこのページを訪れてくださった貴方に僕が贈れる中では最大の謝辞を。ありがとうございます。

 

「男もすなる、日記といふものを、女もしてみむとて、するなり」

 

 これは有名、紀貫之土佐日記の書き出しですが、ブログなんてものが出て流行りだして、羨ましいなんて思っていても日本語が拙い僕にはなんだか気恥ずかしくてなかなか書けなかったものを今更のように始めてみました。心情的には清水の舞台から飛び降りるともいえますし、また当時男性は漢文で書いていた日記に和文で挑戦した紀貫之の心情に倣って、書き出してみたという訳です。

 

 さて、文字数制限が緩和されているからといって大仰な出だしで人が離れてしまう前に本題に入ると、最初の内容は僕がついさっき読み終えた本、「京都寺町三条のホームズ」第一巻の感想にございます。感想なので、本の内容には必要最低限しか触れずに僕の心に去来した感情のみに焦点を中てていく非常に、読まれる方に申し訳ない内容になります。先に謝れば許されるかもしれないという甘い感情を含み、そしてここで一度読まれている方に区切りを入れるタイミングを差し上げているのです。

 

---閑話休題---

 

 主人公は真城葵で高校二年生の女の子ですね。そして物語の中核を握る推理役はホームズと渾名される家頭清貴、22歳の京都大学大学院生です。名からわかる通り男性です。ここで、ストレートで大学に行けるなんて羨ましいと、浪人していた上に望みよりも遥か低い大学に通う僕は思ったりするのですが、それはさておき……。

 この本は「シャーロック・ホームズ」シリーズの推理をするホームズをワトソン博士がハラハラと見守るというか振り回されていた様に、推理をするホームズ(清貴さん)に葵ちゃんが連れて行ってもらって色々な感情を抱くのを描写してあるのです。

 葵ちゃんの心は作中では本当に純真に描かれていて、主人公の心情が最も読者の目に触れるわけなので、主人公が純情だと僕には非常に受けがいいと思っています。葵ちゃんの心を観察から簡単に見破る清貴さんに驚く心情描写なんて特に綺麗で、僕は葵ちゃんの生きた感情にうっとりしながら読み進めていたものでした。

 素直で純真な初雪のような心を持つ葵ちゃんを、余談これは僕が勝手に想像した彼女の性格を四苦八苦広辞苑片手に言葉にしたものですが、類稀な観察眼であっさり読み解いてそれを葵ちゃんにだけ言ってしまうと仰りながら披露する清貴さんにも僕は感嘆の心を覚えつつ、このように観察眼とそれを表現する綺麗な言葉でいて嫌味ならない程度に抑えられた機転の良さが欲しいと思っていました。

 それでいて、この本は人の心を綺麗な言葉のみで飾らないのです。例えば、葵ちゃんは京都に引っ越す前に付き合っていた彼に振られてしまい黒い感情を吐露するシーンが序盤に置かれていて、この点読者に通り一遍綺麗な心情だけを描くのではない良さが感じられますし、イケメンで「いけずな京男子」な清貴さん、それに彼の父親も皆一様に闇を心に抱えていて、それが登場人物にリアルな肉感を与えていて僕にはそれが非常に美しいと感じる質なので、この感情表現の綺麗さで更に小説にどっぷりと浸かっていきました。

 

 さて、あまりに長すぎてはただでさえ読みにくい僕の駄文が誰も読んではくれないものとなるので、その他の感情で僕が書きたいと改めて想うものはまたの機会にしておきましょうかね。

 

 では、たとひ流し読みだったともここまでお付き合いいただいた方に最大限の感謝を改めて、ありがとうございます。また貴方が訪れてくださることを僕は願ってここで締めたいと思います。

 

 P.S. 少しでも貴方の心にこの「京都寺町三条のホームズ」のシリーズを手に取って読んでいただいて色々と抱くであろう感情を僕にお裾分けしてくれる機会があることを願って。