シャルの心の端書き置き場

短くは書けないそんなあれこれを

「京都寺町三条のホームズ~新緑のサスペンス~」を読み終えて

 この僕の拙い日記を以前読まれた方へ、おひさしぶりです。そして初めて読んでくださる方へ、初めまして。僕はシャルと申します。

 感想の前に短い言い訳と近況報告をば。長い期間が、確か三月ほどだと思いますが、空いてしまいました。その間何をしていたかと問われれば、勉強・読書・ゲームの三本柱を軸に日々悩みつつも楽しんでおりました。読書に関しては「京都寺町三条のホームズ」のシリーズをひたすらに読み返したり、数冊新しく買ったりもしましたが何といっても一番の出会いは「伊勢物語」を原文で読破したことでした。毎日コツコツと読み進めても、僕の浅薄な知識ではひと月はかかりました。そのお話もいつか、この年の間に書けると嬉しいですね。来年への思い残しは少ないに越したことはありませんから。同じ本を読み返していたのでは、新しい日記も書けないということです。もし、万が一、億が一、待っていたという方がいらっしゃれば、すいませんでした。

 さて、本題ですが今月発刊された「京都寺町三条のホームズ」の第6巻を本屋で偶然に見つけ、至極当然その場で購入し読み終えたので感想を述べたいと思います。

 第5巻でようやく長い一年にも亘る先輩と後輩、将又師匠と弟子という関係を越えて恋人同士となったホームズさんと葵ちゃん。その恋人となった後の新刊となれば、どこまでこれから2人の仲は進むのだろうと気にならない人はいないはず!そう期待に胸を膨らませて最初のプロローグへと至るページを捲りました。結論だけ言えば、恋人同士となったにも関わらず、葵ちゃんは元からホームズさん好きで描写がなされていたせいか、照れつつもクールでした。ところが、この本にホームズさんの葵ちゃん好きが描かれるようになったので、それはそれは甘い描写が見られるようになりました。恋愛感情を見るのが大好きな僕には大変嬉しいことです。甘い恋愛感情を活字で読む度に脳髄を駆け抜ける電撃による痺れと胸が一杯になるような感覚に襲われ、読書の幸せを嚙み締めております。

 そして、甘い彼らの恋愛事情を挟みながら、今回の物語はこのシリーズ初の長編推理小説でした。望月先生の長編を読むのは初めてで、主軸には恋愛を置きつつ鑑定・探偵・京都案内の三つがしっかり書き込まれていて、僕は物語の展開に緊張で息を詰まらせたり、ホームズさんと葵ちゃんの恋愛模様の描写に胸を躍らせつつ、大変楽しく読み進めました。

 本の内容に触れてネタ晴らしをしてしまうには、あまりにも惜しい本だと僕は思っているので本の内容には一切触れずにおきます。是非、お時間があってライトな推理と恋愛感情を活字で読まれたい方がいらっしゃれば買って読まれるのが良いかと思います。

 そして、エピローグでは第1巻以来登場のない人物であった、葵ちゃんの元カレの克実君が現れて、ホームズさんにやり込められます。この本を気に入られる方はきっと家頭家とその周辺人物の個性に惹かれるという方が多いと思うので、胸がすくような思いをすると思うのですよ。しかし、僕はその胸のすくような思いを抱く裏腹に自己への反省と苦い感情を抱きました。

 僕は残念、人に恋することはあれど交際するに至らずな人間で、恋愛に関する経験が浅いのですよね。それで今まで迷惑を人にかけたりもしました。そして、これを書くに至った感情としては、直前にふと目にした文章からの下世話な妄想のなんと穢らわしいことか、というものでした。その黒い感情をぶつけることで、美しいものを自分の心に感じることが出来れば良かったのですが……。心が綺麗なばかりではないのは知っていますが、僕も月並みで良いので恋愛を一度して劣等感に頭を悩ませる現状から逃れたいものです。

 何故、僕が頑なに独り身でいるのか。それは異性に対して抱く恋愛感情が突き詰めたら、僕の場合単純な性的欲求に落ち着いてしまうのではないかと思うと怖いからです。僕は性的欲求を否定しないし積極肯定していますが、それで相手の感情を見落としたり、我を張るようなことがありたくはないと思うのです。以前の失敗に対する反省を通した自戒と、自分への恐れの述懐ですね。そもそも何が恋や愛で、どれだけの重さなら相手が受け止めきれるかが全く分からないのです。僕のこの邪な考えが他人を穢すことを夢想したくもありませんし、これからもし一歩を踏み出すにしても大きな大きな勇気が必要でしょうね。

 最後の二段落は、「京都寺町三条のホームズ」シリーズとは一切関係のない僕の独り言のようなものです。「京都寺町三条のホームズ」シリーズはたいへん面白いのでお勧めですよ。それでは、最後に僕の駄文を最後まで読まれた方への感謝を胸にこの文章を締めたいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。